3枚の写真

写真の赤ん坊は二ヶ月半の私です。
私は4月半ば生まれなので、生まれた年の7月のはじめあたりでしょうか。
現存する私のもっとも若い時の写真です。母も私もむちむちしています。
今、皆さん、気軽に携帯電話やスマートフォンでぱちぱち写真を取り捨てていますが、昔は、フィルムもカメラも高価でした。
父も母もカメラを持っていなくて、親戚に借りて撮影したのだと思います。
自分が赤ん坊のころの写真はあと2枚あります。
1枚は畳の上にひいたざぶとんの上でおむつカバーだけで寝っ転がって指を吸っているもの。これは先の写真と同じ時期の撮影です。母の足の指の先が、一緒に写真に入っています。
もう1枚ではみかん箱(!)の中にいます。私はもう首がしっかり座っていますね。服をたくさん着込み、毛糸の帽子までかぶり、でんでん太鼓を握っています。たぶん1歳の冬の頃。
赤ん坊時代の写真で残っているのはこの3枚のみ。しかもみんな5センチ四方の小さいものです。
でもさっき、スキャンしてる時思ったのですが、フィルムのせいか、焼いた写真が高品質ですね。
ここまで古くないカラー写真の中には、すっかり色あせてしまったものが何枚かあります。なのにこの3枚はとてもくっきりしているのです。もう50年の時を経ているというのに。
この古い、小さな写真を、どれもとても大切にしています。私の母は手先が器用で、裁縫や手芸が得意でした。また既製服が一般的でない時代だったので、おむつカバーもニットの帽子もすべて手作りです。
みかん箱には端切れをのりでパッチワークのように貼ってあり、一見それとわからないようになっています。見ていたわけではないのに、若い母が小さい布切れにはけで水のりを塗っている様子が目に浮かびます。
この3枚は「本当に大切なものが少しだけあればいいんだよね」と思う代表選手なのです。
記事提供元サイト:フランス語の扉を開こう~ペンギンと
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